過足柄坂見死人作歌一首 (Manyoshu 1800)

小垣内之
麻矣引干
妹名根之
作服異六
白細乃
紐緒毛不解
一重結
帶矣三重結
<苦>伎尓
仕奉而
今谷裳
國尓退而 父妣毛
妻矣毛将見跡
思乍
徃祁牟君者
鳥鳴
東國能 恐耶
神之三坂尓
和霊乃
服寒等丹
烏玉乃
髪者乱而 邦問跡
國矣毛不告
家問跡
家矣毛不云
益荒夫乃 去能進尓
此間偃有

Modern Japanese

小垣内の
麻を引き干し
妹なねが
作り着せけむ
白栲の
紐をも解かず
一重結ふ
帯を三重結ひ
苦しきに
仕へ奉りて
今だにも
国に罷りて 父母も
妻をも見むと
思ひつつ
行きけむ君は
鶏が鳴く
東の国の 畏きや
神の御坂に
和妙の
衣寒らに
ぬばたまの
髪は乱れて 国問へど
国をも告らず
家問へど
家をも言はず
ますらをの 行きのまにまに
ここに臥やせる

Hiragana Pronounciation

をかきつの
あさをひきほし
いもなねが
つくりきせけむ
しろたへの
ひもをもとかず
ひとへゆふ
おびをみへゆひ
くるしきに
つかへまつりて
いまだにも
くににまかりて
ちちははも
つまをもみむと
おもひつつ
ゆきけむきみは
とりがなく
あづまのくにの
かしこきや
かみのみさかに
にきたへの
ころもさむらに
ぬばたまの
かみはみだれて
くにとへど
くにをものらず
いへとへど
いへをもいはず
ますらをの
ゆきのまにまに
ここにこやせる

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